朝日新聞:けいざい+プラスで「マンションの空き駐車場」問題の紹介 (2021年3月23日~24日)
マンションで深刻になっている駐車場の空き区画問題が紹介された。クルマの台数が増え続ける中で、駐車場の台数が不足するというかつての社会問題は、今や空き区画が増加することで、ま逆の社会問題になっている。管理組合は駐車場使用料も大事な収入になっており、空き区画増加は、使用料収入の減少に直結し、管理組合の将来に影を落とすことになる。特に機械式駐車場は設備の維持・更新に多額の費用を要するため、空き区画の放置は深刻な影響を及ぼすことになる。
管理組合にできることとしては、短期的な対策と長期的な対策が考えられる。短期的には空き区画を、居住者以外の外部に貸し出す、「サブリース」などの対策がある。この場合に居住者以外の外部の利用者が敷地内に入ってくることからセキュリティ対策が必要となる。またこれは「収益事業」となるため、管理組合として税務申告することも必要となる。これらの合意形成を組合員に諮ることが必要であることはいうまでもない。
その一方で、抜本的に解決するには長期的視点に立ち、マンションに必要な駐車区画数を予測し、必要な台数分以外の機械式駐車場区画は撤去し、平地化する方法がある。平地化すれば、駐車できる台数は減るが、設備の維持・更新費用は削減できることになる。もちろん、一旦平地化した駐車場を元には戻すことはできないので、慎重な需要予測と合意形成は重要だ。こうしたこれまでの駐車場対応は昭和32年の駐車場法に基づき、制定された条例に規定されている。規定された附置義務の完全な改正はまだこれからだが、既に2019年に東京都の通達(技術的助言)により、条件付きながら、駐車区画数を削減し、マンションの実態に合わせた運用も可能になっている。
現在、新型コロナウィルス感染拡大防止が呼びかけられ、テレワークや時差出勤が求められている。こうした中で、人との接触を避けることができるマイカー利用が一時的に増えていることは事実である。しかし、これは一時的な現象であり、長い目でみれば、クルマ離れ、駐車場余り、空き駐車場の増加の流れは変わらないと、記事の中でコメントした。このようなマンションが抱える問題点が記事として紹介されたことは、マンション管理組合にとってはありがたいことであり、管理組合(区分所有者)がこの問題に一日も早く気づいて、アクションを取ることを期待したい。