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理事長は理事会決議で解任できるか?【最高裁判所2017年12月18日判決】

投稿日:2017年12月18日

マンション管理士として、区分所有法、標準管理規約を学ぶ中で、理事長の役職は理事の互選(平成28年版標準管理規約では理事会の選任)と教えられていましたが、「解任」に関しての定めは標準管理規約にはありません。しかしながら、「選任された者は解任できる」との考えから理事会決議で理事長の解任ができると信じて疑わずに活動してきました。ところが理事会決議で解任された理事長が、理事会による解任決議を無効と訴えた事件があり、理事会で解任できるかが争いになりました。規約で定められていない「解任」は理事会ではできないという主張の事件ですが、一審の福岡地裁(久留米支部)に続き、福岡高裁では規約に解任の定めがなければ解任できない旨の判決が出されたのでした。これは私にとっては青天の霹靂、これまで当たり前のことのように考えていたことが覆され、この先どうなることやらと実務の流れに反する判決に先行きの不透明感を覚えました。ちょうどこの最中に受けた相談の場面で「理事会決議での理事長解任は可能です。」と答えたものの、最高裁判所の結果がわからない中で、内心一抹の不安があったことは事実です。

そして迎えた2017年12月18日。最高裁判所小法廷で判決が言い渡されました。出された判決は、互選で選任されたものは互選で解任もできるという内容で、審議を高裁に差し戻すというものでした。これは我々管理組合の「常識」が認められたということにほかなりません。総会でしか、理事長の解任ができないとしたら、理事長に問題があってもなかなか辞めさせられないのではと、一時は危ぶまれましたが、事なきを得ました。

★今回の訴訟通じて、私たちが普段、当たり前のことと感じていることでも、その当たり前の常識に安住はできないという教訓を得ることになりました。とともに私たちの常識が正しく認められたこと、しかも最高裁の判例として確定したことに安堵を覚え、晩秋の最高裁を後にしました。

《最高裁判所外観》

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