中央区分譲マンション管理セミナー(令和7年度第1回)で講演、「長期修繕計画、大規模修繕そして談合問題」
「長期修繕計画を活用した大規模修繕工事の進め方~長期修繕計画の実践的活用+談合被害に遭わないために」と題して、講演を行いました。ご高承のとおり2025年3月の公正取引委員会での立ち入り検査をきっかけに大きな社会問題化した「談合問題」です。区分所有法改正の際の国会審議の中でも、この問題への国の対応が問われ、国土交通大臣からは「(公取調査の進展、結果を踏まえ)厳正に対処するとともに、コンプライアンスの更なる徹底を図る」旨の表明がありました。こうした状況の下で開催されたセミナー会場には、管理組合の役員はじめ、大規模修繕工事を間近に控えた管理組合の方々まで会場が満席となるほど多くの方に参加いただきました。
参加者は長期修繕計画や大規模修繕工事の進め方など基本的なことへの関心もさることながら、やはり談合問題への関心はひときわ高かったです。談合問題は長年の業界慣習によるものですが、それだけではなく管理組合側の知識不足や無関心が背景にあります。公正取引委員会の判断が出るまでには年単位の長い期間を要するとも言われています。こうした中で、管理組合が談合による割高な工事費負担や「不適切コンサル」の被害に遭わないためには「自衛」するしかないのです。一例を挙げるならば、談合は管理組合の外部へ情報が流れることが一つの原因です。そうさせないためには見積もりの提出先を管理会社や外部の設計コンサルなどにするのではなく管理組合宛にすることが基本中の基本です。そのほか、巧妙な手口に対する管理組合の対処の方法について具体的お話しさせていただきました。講演終了後には質問者の行列ができるほど、この問題への関心の高さが印象的でした。
一筋縄ではいかない難しい問題ですが、管理組合にできることは、専門家に任せきるのではなく、管理組合が主体となって設計事務所や施工会社選定を進めていくことではないでしょうか。今回の講演を通じて感じた管理組合の関係者の切なる思いを受け止め、これからも大規模修繕に直面する管理組合への支援を続けていきたいと思っております。