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理事会が廃止され管理会社が管理者になろうとしているのですが・・・

投稿日:2012年06月04日

総会で理事会の廃止と管理会社を新たな管理者とする議案が上程されている。この議案の内容にちょっと疑問があるので総会に立ち会ってほしいとの相談がありました。しかも総会は翌日と・・・。このただごとならぬ緊迫した状況にマンション管理士として、ひとまず総会に立ち会うことになりました。

いわゆる理事会でない第三者を管理者とする制度への移行には規約改定が必要で、これには区分所有者と議決権の3/4以上の賛成が必要な特別決議となります。総会を前にこの管理組合の規約をチェックすると様々な問題が見えてきました。まず保管口座の通帳と印鑑両方を管理者である管理会社が保管すること。「書面投票」という区分所有者へのアンケートにより、総会決議なしに管理費の改定やその他の業務執行が可能であること。「書面投票」をするかしないかの判断は管理者が「書面投票」が「適当」と認めた場合に限ること、予算の20%超の変更は「書面投票」を必要とするものの、それ以下では、「書面投票」も総会決議もなく変更が可能になっていること。会計帳簿は開示しても区分所有者名簿の開示はできないこと。さらには現行の「監事」が廃止され、それに代わるチェック機能がないこと。また議事録も管理者の署名のみで議事録署名人もないという、まさに管理者が何でもできてしまう、管理者こと管理会社に都合よくできている規約改定でした。このまま、このマンションに第三者管理方式が導入されたならば管理組合と区分所有者には大きな問題です。

規約上は管理者の任期を1年とし、その都度、選任するとされており、これでも一定の抑止効果があると思われますが、実際には、理事会もなく、区分所有者の連携もできない投資用物件の場合、委任状で管理者が再任される可能性が極めて高く、よほどのことがない限り管理者の解任は難しいことになるでしょう。従って、万一管理者に不正があったとしてもそれを抑えることが難しくなるのです。このような第三者管理方式では監事(または監査人)にあたるチェック機能は不可欠で、特に理事会を廃止して第三者管理方式に移行するのであれば、監事(または監査人)は必須です。

第三者管理方式には、役員のなり手がない中で、役員に負担をかけなくて済むというメリットがあるものの、それ以上にリスクもあるのです。管理者方式は信頼できる機関等に管理を任せていくものですが、たとえ、現在は良好な信頼関係があったとしても将来にわたってこの関係が継続するとは限りません。だからこそ、信頼関係が崩れた場合のことを想定しておかなければならないのです。第三者管理方式のリスクも踏まえてこの方式を導入するか否かについて、区分所有者間でよく議論をしたうえで判断されることが望まれます。

★総会の結果がどうなったかというと、規約改定に必要な3/4に達せず、この第三者管理方式への移行案は否決されました。それにより上記の懸念は一旦なくなりました。また総会出席者の中から、立候補があり現行の理事会方式で理事長が選任されることになり、管理組合にいつもの平穏が戻ってきました。

 


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