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民泊合法化と標準管理規約(民泊禁止)改正案を受けて思うこと

投稿日:2017年08月18日

本年6月の通常国会で新たに住宅宿泊事業法が成立し、民泊が合法化されました。これを受け、標準管理規約改正案が6月19日に公開され、パブリックコメントを経て、現在、標準管理規約改正案の公開を待つ状態です。昨年3月に標準管理規約が改正され、まだ日が浅い中で、今回改正されようとしているのは「住宅宿泊事業法」による民泊合法化にほかなりません。今、管理組合は民泊への対応が求められるようになっています。

1.改正の背景

民泊合法化への流れについては既に報道の通りで、ご存知の方も多いことでしょう。海外からの旅行者の増加とホテル不足の現状、2020年東京オリンピックに向けて更なる渡航者増と宿泊施設不足が顕著になることが予測されています。こうした社会の変化を受け、住宅を宿泊施設として活用することが決まったのです。住宅宿泊事業法は、国内外の旅行者の宿泊先確保が制定の主な理由です。しかしながら民泊には、騒音やゴミ出しマナーだけでなく、短期利用者が入れ替わり出入りする問題がつきまといます。お隣にどのような人が宿泊するかわからないと言った不審感や居住者との様々なトラブルが想定されます。こうした懸念から法律が審議される過程においてマンション管理組合で民泊を認めるか、認めないかについて管理規約で規定することが望ましいとされました。これを受け、国土交通省は今回の改正案を示すことになったのです。

2.改正される規約内容とは

パブリックコメントで公表された標準管理規約改正案では民泊を禁止する場合として「区分所有者はその専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」の規定に第2項として「区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。」と追加されました。案の段階とは言え、ようやく禁止規約が公開されたことで、やれやれと思われた方もいるかと思いますが、ちょっと待ってください。本当にこれで十分でしょうか・・・? 短期の宿泊用途で貸し出す民泊には、前述の住宅宿泊事業法で新たに規定されたものだけではありません。この他に旅館業法「簡易宿所」としての民泊、東京都大田区のように国家戦略特区報に基づく「特区民泊」がありますが、こうした民泊は民泊規制の中で考えればよいのでしょうか。民泊利用者は法律や制度によってお行儀の良しあしがあるわけではありません。利用者からみれば宿泊先としてどれも同じです。つまり禁止するならば全ての民泊を禁止しなければ規制する実効性は弱いと言わざるを得ません。こうした点を踏まえ、全ての民泊を禁止する場合の規約としては、第2項に「区分所有者はその専有部分で宿泊料を受けて人を宿泊させる用途に供してはならない。」と加えることで網羅的に民泊類似行為を禁止できることになります。実はこのことは標準管理規約改正案の「コメント」には記載されているのですが、なぜか本文では住宅宿泊事業法による民泊のみを規定しているのです。様々なタイプの民泊があることを知ったうえで、国土交通省がこの不十分な規約を最終的に改正案として決定するならば何か恣意的なものがあるのではないかと穿ってしまいます。

3.管理組合としてなすべきこと

合法化された結果、年間180日を超えないという制限は設けられるものの、簡単な届出により、マンション内で民泊が営めることになります。現時点で制度運用方法を定める厚生労働省令や国土交通省令、また施行日については未定ですが、早ければ2018年1月にも開始される可能性があります。合法化により、今後大きな広がりが想定される民泊を禁止するためには今から管理規約で明確に禁止を定めておくことがトラブル防止のため有効です。

4.まとめ

民泊が合法化され、施行へのカウントダウンが迫る中で管理組合内に不安もあるかと思います。まもなく(8月中に)標準管理規約決定版が公開される予定です。国土交通省案では不十分な点については、パブリックコメントに私個人の意見として提出しましたが、どこまで考慮、検討されるでしょうか。どのような標準管理規約が出されようが、民泊禁止の本質を貫くよう規約を改正するべきであることは言うまでもありません。

★民泊を禁止するための規約改定や民泊トラブルへの対応についてなど、ご不明な点がありましたら、ご連絡ください。

 

 

 

 

 

 


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